大人になったら、サッカー選手になる。大人になったら、プロ野球選手になる。
大人になったら、お医者さんになる。大人になったら、先生になる。
子どもの頃は、無限大の選択肢の中から自分がなりたい夢に向かって一直線に走り続けていたような気がする。いつから走るのをやめて立ち止まったのかはもう覚えてすらいない。
『将来の夢』
それは、小学生の時に出された作文のテーマだった。
当時の自分は『将来の夢』と言われても、なりたいものなんて特にないし、そもそも将来の夢を掲げたところでなれるとは思えないと捻くれていたため、なかなか筆が進まないでいた。
今、思い返すと、あの『将来の夢』というテーマで作文を書くというのは、実際にその夢が大人になった時に叶えれるかどうかは別として、自分が夢中になっていることは何か、自分の好きなことは何か、自分の得意なことは何かといった、『自分自身を客観的に見ることの大切さ』を教えるためのテーマ的なものだったように思う。そう考えると、あの頃から自分は自分のことを客観的に見れてはいないのだろう。
しばらく悩んだ末にその時の自分が作文に書こうと思った将来の夢は、『漫画家』だった。
決して小さい頃から絵の勉強をしていたわけでも、絵を描くことに長けていたわけでもなく、ただその時の自分は絵を描くことにハマっていたからという単純な理由だ。
A4のノートに不格好な漫画を描いて自己満足に浸る。そうやって自分が何冊も何冊も描いたA4のノートたちは、今では完全な呪物へと成長を遂げて自宅の押し入れに眠っている。『Campus』と表紙に書かれたノートの中には、見るに堪えない絵柄で描き殴られた自らが描いたギャグ漫画が現れる。
少し前に、「タナベ」という友達に、自分の漫画を見せたことがあった。
この「タナベ」という男は、自分が小学生の時に初めて出来た友達と呼べる存在で、しかし、友達と言っても今では音信不通で生死もわからないほど良好な関係なのだが、とにかく自分が今まで自己満足に浸っていただけの漫画を恥ずかしながら、初めて他人に公開した。
1枚1枚、彼は真剣に自分の漫画を読んでいた。
編集部に初めて自分の漫画を持ち込んだ今、現役で活動している大手漫画家の一番最初はこんな気持ちだったんだろうなと思う。
しばらくして読み終えた彼に感想を聞いた時、彼は少し間をおいた後に口を開いた。
「うん、ストーリーはいいよね」
作文には、『将来の夢は、たこ焼き屋』と書いて提出した。
『大人になっても魔法とか超能力とか言うんですか。』をご覧のみなさん。
白瀬です。
そういえば、うっかり宣伝するのを忘れていたのですが、
愛悶の♯2の本編と♯3のアフタートークが公開されております。
第1回目でいきなりトークを無茶苦茶カットし、
第2回目でいきなりゲストを呼び、
第3回目でいきなり相方が不在だったりと、
大変、尖ったことをしておりますが、教養ラジオとしてやっておりますので、本当に暇なときにでも聞いて感想をいただけると、編集を頑張っている相方が喜びます。
ハッシュタグも♯愛悶というものがあります。ぜひぜひ感想など呟いてください。「おもしろくない」だけは言わないでください。「こうしたら面白くなる」は教えてください。
#2 【本編】経験人数1万人の男、登場(ゲスト:真山正臣さん) - YouTube
♯3の本編は近日中に上がると思います。多分。
さてさて、今年から勢いで始めたへぼかすラジオなんですが本当に少しずつ聞いていただける方々が増えまして。ありがたいお話で。
そんな中で、
「アフタートークをなんで先に出しているの?」
というお声をちょこっといただいているので、構成作家に携わらせている身として、この場を借りて、ご説明をさせていただこうかと思います。
えー、なぜ、本編よりも先にアフタートークを上げているのかと言うとですね。
その方が、とっても面白いと思っているからです。
これからも、アフタートークを先に上げていきます。
末永くお付き合いください。
白瀬でした。